●ドキュメント脳卒中「体験記その3 冬のつらさ編」
Copyright © 1950s bros. 1998-2001 All rights reserved





 ドキュメント脳卒中「体験記 復職編」へ
●冬のつらさ


夏に退院し、自宅療養生活に入り、秋が過ぎ、初めて迎えた「冬」は私にとって過酷だった。
夏に冷房が苦手になっていることは痛感していたが、冬の寒さはつらかった。増幅されて感じる寒さと左半身の硬直はつらかった。
いっそのこと凍死=闘死してしまいたいほどだった。脳卒中の後遺症は千差万別らしいが、冬がつらい人は多いらしい。
外での散歩は危険である。寒さ左半身の緊張と戦いながらの歩行はつらいというり怖かった。転倒したら起き上がれないから、凍死してまう可能性があるのだ。
危険は避け、暖房のきいた居間の介護ヘッドに篭もるようになった。暖房が切れると、歯を鳴らしてふるえた。身体を動かさなくなり左半身が固まっていくようである。新年を迎えても憂鬱で気持ちが新たになることもなく、将来が不安になり暗い表情の日が続き、妻を悲しめたと思う。あと少しで発症して1年目を迎えようとしている。おーさんには携帯でメールのりとりが増えたと思う。苦手だった携帯メールに慣れた。冬の寒さに対するしびれは治療の術かないようであった。慣れるしかないという。
年が明け私にとって厳しい寒さの中、復職に向けての慣らし勤務が始まる。
1年前の私は障害とは無縁の「働き者」で仕事も充実、明るい未来を信じていた。
この一年、健常な一年を思い出してはつらさをかみ締めていた。
春よ来い。人生の春よ。来い。
-2010.03/05-