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我が家での入浴
退院後、我が家の風呂にのんびりつかりたいということは入院中、夢であった。
入院中は介助を得ての器械浴、退院後しばらくは妻の介助のもとでの入浴に加え、デイケアでの介助のもとでの入浴生活であった。
びしょぬれになって入浴介助する妻や介護士さんやデイケアのスタッフの姿、特に妻の姿には心が痛んだ。
2009年の師走の今、私は気ままに入浴を楽しんでいるが、そうなるまでに3月を要した。
以下が日記に記した入浴に至る軌跡である。
8月28日 (金) 自宅での入浴について考える
風呂場の右側の手すりが未完成なため風呂に入っていない。
おーさんからのアドバイスをもらった。
◆「うちにも脱衣場には手摺はないよ!転ばないように脱いでT字杖で立ち上がりそのまま風呂場に入るんだ。
バスチェアーに手を乗せてそれから座っているよ。」
◆「慣れれば、、両足で立つことができるよ。
心配することないよ。
デイケアへ行けば入浴があるから、車椅子は使わずに入るだろう。
右手を解除してもらって風呂場へ行くんだ。
皆車椅子を使っていた人も、右手を持ってもらって入っているぞ。
家でいらないですむから楽なくらいだよ。」
さすがおーさん。説得力がある。
8月29日 (土) ) 自宅での入浴について考える その2
◆おーさんから 「両足で立つことができるよ。心配することないよ。デイケアへ行けば入浴があるから、車椅子は使わずに入るだろう。
右手を解除してもらって風呂場へ行くんだ。
皆車椅子を使っていた人も、右手を持ってもらってはいっているぞ。
家でいらないですむから楽なくらいだよ。」
◆おーさんから 「デイケア使節で洗ってもらうけど水を通さないエプロンがあるはずだよ。
それと奥さんと一緒に風呂に入ったら良いんだよ。」
◆おーさんから 「勘違いしてたよ。
僕は脱衣所で脱衣してから風呂だからすぐなんだ。脱遺所では木の椅子に座って脱衣するんだ。
そこまでは歩いていくんだ。」
◆おーさんから 「風呂は毎日入らなくても死にはしないよ
僕は週3回だ。水・金はデイケアで日は自宅でそれで十分さ。」
私は風呂が好きで一日数回は入っていたからねこの欲望を満たすのは大変なエネルギーが必要だ。
午前中弟一家が我が家に来てくれた。
「お風呂でおぼれたらいかんよ」と案じてくれた。
8月29日 (土) とうとう湯船につかる。
今日全ての手すりがついたので
妻の介助のもとで入ってみた。
大冒険である。
やはり我が家の湯船は最高。
でも左半身は湯の温かさがわからないのがつらいところ。
湯船にバスチェアを接近させて足を一本ずつ入れて
手すりを持って両足で立ってから、ゆっくり腰を下ろした。
浮力のおかげで膝を痛めずにすんだ。
風呂上りのお茶は最高。
シャワーくらいは一人では入れそうというと、妻に叱られた。
11月30日 (月) 足湯を皮切りに、入浴成功
最初、バスチェアに腰掛けて足湯バケツに足をつけていたが、目の前にある浴槽を見て入れそうだったので、湯を貯めて入ってみた。
我が家の浴室は手すりを完備しているので、バスチェアを使いながら、あっさり入ることができた。
身体を洗うまでには至ってないが、そのうちにと思っている。
無茶と言われそうだけど、
外を歩くことにしても、退院時、独りで歩くなと言われていたものを、
自己責任で、独りで挑戦し、今でへは一キロ歩行を達成できている。
何よりも、独歩の技が入浴に一番役に立った。
足のむくみも軽くなった。湯冷めしないようにしたい。
速やかな着替えの練習にもなった。
介助なしで身体を洗う練習をしたい。
心配するといけないから妻に報告していいものか迷っている。
「とうさんは無茶をする」と叱られそうだ。
そもそも入浴することに関しては、銭湯で両親から学んだものだ。
なつかしい昭和の時代だ。
先頭の湯船は子どもの頃の私にとって深い海のようだった。
◆2009年の師走の今、私は気ままに入浴を楽しんでいる。
訪問リハビリで教わった「二本結んで長くしたナイロンタワシ」を駆使して、背中を洗うまでになった。
無断で一人で入浴したことは、妻をかなりはらはらさせたようだ。
しかし、生きる自信を増すに至ったことは事実である。
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